名もなき実昌 × 梅沢和木 企画展「MAD IMAGE」
MADと呼ばれる文化がある。主にインターネット上で、既存のアニメやゲームなどの映像・音声を編集して作られた二次創作作品を指すこの言葉は、少なくとも1990年代以降、アングラな創作として営まれてきた行為だ。現在では、商業的な領域にまで侵食している。本展ではこの「MAD文化」を起点に、解体と再構成という創作の営みについて考えてみたい。日常のなかでは、分断や断絶が繰り返され、私たちはもはや、整合的な「ひとつの世界」を描くことが難しくなっている。今回の展示に参加する人たちは、10代から50代まで、絵画、映像、アニメーション、グラフィック、音楽など多様な領域にまたがる16名。 彼らの実践には、分断された時代の欠片をつなぎ直しながら、「現在」をほんの一瞬でも立ち上げようとするような、切実な身振りがある。そんな営みこそが、今の時代を映し出すのではないだろうか。